皆さんこんにちは!おこげです。
「たまには毛筆を」書いてますか?
今日は、これから書道を始めたい又は始めたばかりなんだけど上手に墨が磨れない(滲む・墨色が良くない)、墨の磨り方など詳しく知りたい。という方向けに私自身の体験や経験を基に知っている範囲で「効率の良い墨の磨り方」と「硯で墨が」お伝えしていきますので、 是非参考にしてみて下さい。
経験者が教える「文房四宝」にも書いていますが、「墨」が書いた作品に与える印象(主に出来栄え)は多大です。墨色が良く無かったり、意図せず滲んだりした場合は全体がぼやけてしまいます。また、 書き味(筆の進み具合などの感覚)にも影響します。 特に漢字を書く場合の「墨」の基本条件としては、墨色は黒く(真っ黒に近く)、滲みが無いものが良いとされています。その為には、「書」を書く毎に墨を磨る(磨墨する)ことが重要となります。先人達は毎回磨墨を行い、磨りたての墨を用いて書を嗜み、宿墨(溜め置きの墨など)を嫌ったそうです。時間の取れる方は、墨は書く分だけ毎回磨墨する事が好ましいと思います。
とは言え、磨墨も要領を得ないと時間が掛かるだけの徒労になってしまいますので、私が行っている効率良く、良い「墨」を作る為の磨墨方法をお伝えします。
【効率良い磨墨方法】
[手順1]
硯の「丘(おか)・墨道(ぼくどう)」中央に水を少し垂らします。(大体500円玉程度の大きさを目安にします。)
[手順2]
墨を軽く当て、少し斜め手前に倒し、できるだけゆっくりと、円を描くように動かします。(部分的ではなく全面を使って磨る様にします。)
[手順3]
しばらくすると墨の香りがたってきます(見た目にも真っ黒く輝いてきます)ので、水を少し追加します(1.に戻る)。
手順1~3の工程を繰り返して量を調節します。こうする事で手早く良い墨を得る事ができます。ここでのポイントは、①軽く墨を当てる(押し付けすぎない)、②墨を傾ける(硯との抵抗を少なくする、)事です。もし、墨全体が斜めに削れてきたら上下ひっくり返して使用します。磨墨はある程度の時間を要するものですから、先人たちは磨墨の法について「少女の如く」「病者の如く」と言い、力を加えてゴリゴリと早く磨るのでは良墨は得られないと教えています。
【硯が墨に与える影響】
磨墨の仕方以外にも墨に影響を与えるものとして硯があります。 硯の 「丘(おか)・墨道(ぼくどう)」 には「鋒鋩(ほうぼう)」という、肉眼では判別できないとても小さな凹凸が無数にあり、( 詳細は、文房四宝「硯・前編」をご覧ください。)この「鋒鋩」がヤスリの役割を果たして固形の墨を削っています。和硯は基本的に「鋒鋩」が弱いと言われており、唐硯(端渓、 歙州 )は「鋒鋩」強く良いものが多いと言われています。この「鋒鋩」は使用すればするほど摩滅や目詰まりをおこします。目詰まりをおこすと、いくら長時間かけて磨墨を行ったとしても墨色は思わしくなく、滲みやすいものになります。 ですので、いくら気を付けて良い磨墨法を行ったとしても「鋒鋩」の良し悪しによっても墨の質は決まるといっても過言ではないでしょう。もし、「鋒鋩」が摩滅や目詰まりをした硯に関しては、専用の砥石を使って墨道の部分を再研磨をすることによって、新しい「鋒鋩」を作り出すことができます。硯の再研磨やメンテナンスに関する詳細は、[文房四宝「硯・続編」]をご覧ください。
【墨の種類による違い】
墨には油の煤を原料とした「油煙墨(ゆえんぼく)」と松の煤を原料とした「青墨(せいぼく)」に分かれます。色味ですが、油煙墨は真っ黒に近く、青墨は灰色に近い色味となっています。つまり、いくら長時間かけて丁寧に磨墨したとしても「青墨」の場合は真っ黒い墨になることはありません。墨の種類や色も多種多様となっており、その特性によって使い分ける(活かす)事も重要なのです。
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