今回は「とめ」「はね」「はらい」の中から「はね」について書いていきます。
文字を書く上で、はね方を工夫する事で書いた文字に与える影響は大きいと思います。はねをどう生かすかで、文字の表現が変ってきます。
今回の漢字は「衣」です。
衣食住・衣服・衣装等の言葉がありますが、どれも私達の生活に関係する身近なものですね。個人的なことですが、古武術を始めた影響もあって、最近は和服(普段使いできる様な着物)が欲しいなぁ。と思っています。リサイクル等で着物の流通もかなり良くなっていると思いますので、時間を作って探しに行ってみたいと思います。
「衣」は象形文字で、うしろえりを立て、前のえり元を合わせ、肌を隠した着物のえりの部分を描いたものだそうです。
漢字の意味は、ころも。きぬ。肌を隠すもの。狭義の意味では、上半身に着るもの。うわぎ。
読み方は「イ・エ・ころも」名付の場合は「きぬ・そ・みそ・い・え」等の読み方で使われている様です。
はねとは、点画を書き終わってとめを行った後、次の点画に向かって穂先を残しながら徐々に筆を上げ、見えない線で点画を繋ぐ、言うなれば「筆の軌跡」 のようなものです。
はねについていくつかポイントを説明したいと思います。「1.はね」に赤と青のマルをつけたところが、はねになります。赤と青のはねは若干ですが、長さと太さが違います。これは、点画や文字のバランス等によって、筆の力加減を調整することではねに強弱を与えています。強弱をつけることでそれぞれの文字の表現・表情をより豊かにすることが出来ます。「衣」は赤丸のはねを強く、勢い良く表現する事でより活き活きとした漢字になると思います。
この漢字を書く上での注意点を「2.バランス」に示します。 全体的には左右非対称のひし形になるようにすると良いと思います。そうする事ではらいが伸び、漢字のバランスをとる事ができます。また、青線は中心を示しますが、赤線でなぞったはねのある点画を中心線よりもやや左側に配置すると、安定感が得られると思います。
「3.書き方」に筆の運びを示しました。ーが筆の動き、○がとめ、丸の後のーがはねを表しています。このようなイメージで筆を運び、全体のバランスを見ながらはねを入れていくのが良いと思います。また、はねは次の点画に向かう「筆の軌跡」のようなものと言いました。つまり、次の点画が有れば上下左右にはねる、という事なのです。はねる際の筆の使い方でも表現がだいぶ変わってきますので、書体、書風、バランスを考えて色々と試し、自分にあったはねを探してみるのも良いと思います。
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