今回は基本点画の中から「転折」について書いていきます。この「転折」も文字を書く上では使用頻度の多い点画だと思います。「転折」のでき具合によって、書き上がった漢字のバランスや見え方等が変わってくると言っても過言では無いと思います。
今回の漢字は「地」です。
地上・地下・天地人・地獄等の言葉がありますが、どれも大地に関係する言葉ですね。地は天の対比として使われる事もしばしばあると思います。例えば、「地に落ちる」や「地獄に落ちる」という言葉がありますが、どちらも現在の状況から、思わしくない方向に進む事を意味していますね。私も、地獄に落ちるよりは天国に行きたいと思いますが、天国と地獄について考えるよりも、今現在(このとき)をどうやって生きようか?必死に生きる事の方がとても重要だと常々思います。
「地」は会意兼形声で、也(うすい体の伸びたサソリを描いた象形文字)と土がくっ付いた事で、平にのびた大地を示しています。
漢字の意味は、つち。広々とのびた大地。ですが、使われ方によって、衣服の材料としての地(生地)であったり、生まれつきの性質や状態を示す(地)等ありますが、物事の大元の部分を示す意味としては、同じニュアンスという事ですね。
読み方は「チ・ジ」名付の場合は「くに・ただ・つち・ち」等の読み方で使われているようです。参考までに、この漢字には異字体(水の下に土と言う字を含めた3体程)も存在しているようです。また、和歌などでは地の草書体をひらがなの「ち」として使う場合もあるようです。 漢字の草書体(または草書体のようなもの)をひらがなとして使う事を変体仮名(または、変体平仮名)といいます。変体仮名については、また後程に書いていきたいと思います。
転折とは、「1.転折」に赤と黄色の線で示している点画の事で、赤線に対して黄線が直角または鋭角に近い角度で折れ曲がっている部分のことを言い、漢字以外ではカタカナにも存在します。転折を書く際の注意点としては、折れ曲がる角の部分に不自然な「こぶ」が出来てしまったり、その逆で貧相にならないように、書こうとしている文字に対してバランスを見ながら、適度な「とめ」を行う事が重要だと思います。
この漢字のバランスを「2.バランス」に示しました。赤線で区切って○を入れましたが、この部分が等間隔になるようにすれば、偏と旁の間隔が適度になり、文字のバランスが取れます。偏の長さや太さに応じて、緑線で示した部分の長さを変化させると、全体のバランスが取れます。また、緑線の部分は跳ねに向かって徐々に太くするとはねが強調され、この字が格好良く見えるようになります。最後のはねは青丸でとめてから筆の向きを変えずに、内側に向かって弧を描くように強めにはねます。
この字の筆運びを「3.筆運び」に示しました。赤ーが筆の動き、赤○がとめ、黄ーがはねとはらい、青線が転折の入りを示しています。全体的にはねとはらいの割合が多くなっています。つまり、末端に向かって細くなる点画が多い為、筆の力加減がとても重要となります。特に転折の入りである青線部は筆を浮かすようにすると、角の処理がし易くなり、見た目も良くなります。最後のはらいに向かって、徐々に力を溜めながら強く筆を運び、溜めた力をはらいで放出するイメージで書いています。
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